セピア色への憧憬

僕は彼の音楽が大好きだ。世俗離れしているところが好きだ。存在しないものを追い求めているようなところもね。

僕はもう、若々しい曲を聴く気になれないんだ。
色を失った灰色の曲しか。


いや、ちがう。灰色なんかじゃない。セピア色でもない。
よく聴いてごらん。幽玄な旋律の中にひろがるとてもきらびやかな夢の世界。
でも、それはとてもささやかなものなんだ。ちょっとしたことなんだ。


でも、その夢想の世界のとりこになってしまったら、このとても薄味な世界の外のものは受け入れられなくなってしまうんだ。


あぁ、こんな夢の世界が現実だったらいいのにな