指数演算子表現/拡散項の流儀

量子力学第3の時にちょっとでてきた「任意のユニタリ変換は指数演算子で表せる」の証明を考えてみた。ただし行列で。
簡単に書くので適宜補ってください。任意のユニタリ行列Uについて、あるユニタリ行列Vが存在してそれを用いて対角化できる。

    • U=V\Sigma V^\dag

対角行列\Sigmaは対角項の位相を要素とした行列の指数演算で表せる。

    • \Sigma=\exp\left({\mathrm{i}\Theta}\right)
      • \Theta_{ij}=\theta_i \delta_{ij}
        • ユニタリ行列の固有値すなわち対角行列の要素は\exp\left({\mathrm{i}\theta_i}\right)であらわされる。

テイラー展開の式に代入すると、Vのユニタリ性から次の式が成り立つ

    • \exp\left({\mathrm{i}V\Theta V^\dag}\right)=V\exp\left({\mathrm{i}\Theta}\right)V^\dag=V\Sigma V^\dag=U

ちなみに指数演算子の中の行列V\Theta V^\dagはエルミート行列になっている。


あれれ??別にユニタリ行列に限らなくても対角化可能な行列なら大丈夫なような…
追記:こちらにもっと一般的なことを書いてます。:「1変数関数の行列への拡張

ところで前から気になっていたのだが、拡散方程式とかNavierStokes方程式でどうやら二つの流儀があるような気がする。
拡散方程式の拡散係数が場所に依存する場合、拡散項を

    • \nabla^2\left({D\left({\bf r}\right)P\left({\bf r}\right)}\right)

にする流儀と

    • \vec{\nabla}\cdot\left({ D\left({\bf r}\right)\vec{\nabla}P\left({\bf r}\right)}\right)

にする流儀があるよう…
どうやらこれは、確率解析において確率積分の定義として伊藤積分を採用するかStratonovich積分を採用するかに関係している模様。前者が伊藤積分で後者がStratonovich積分に対応しているみたい。物理ではStratonovich積分を使うことが多いとか…NavierStokesも後者の流儀だし。
流派とか政治の世界だけで良いよ…w

反応拡散方程式も挙動が興味深いので勉強してみようかしら